福岡市・久留米・小郡・柳川や鳥栖など、筑後地方で相続・遺言の無料相談なら弁護士法人かばしま法律事務所へご相談ください

LINEで相談予約

初回相談無料

0942-39-2024

受付時間平日 8:30〜17:00

相談予約フォーム

株式の相続

2022.10.05

 私が取締役副社長を務めるA社(非公開会社)の代表取締役社長であった、父が亡くなりました。相続人は、父の子である私と私の兄、弟の3人です。A社の発行株式数は120株であり、そのうち72株を父が保有していました。残りの48株については私が保有しており、生前の父からは、ゆくゆくは私がA社の経営権を承継するようにと言われており、私自身もそのつもりです。

  ところが、これまでA社の経営には全く関与してこなかった兄と弟が、近年A社の評判が上がっていることを知り、自分たちも経営権を承継する権利があるはずだ、父が所有していた株式を取得したい、と言い出しました。

  このような株式についても、相続における遺産分割の対象となるのでしょうか。

被相続人が有していた株式も遺産分割の対象となりますので、被相続人があらかじめ遺言によって株式を取得する者を定めていた場合等でない限り、当該株式を確定的に取得するためには、遺産分割手続が必要となります。

  まず、株式が相続された場合、遺産分割手続が完了するまでの間は、当該株式は相続人間の準共有に属する状態となります。このような状態を解消するためには、相続人間における遺産分割手続を完了させなければなりません。遺産分割手続を行う場合は、まずは相続人間での協議を行い、協議が整わなければ、裁判所に遺産分割調停もしくは審判の申立てを行うことになります。

  非公開会社である同族会社の株式の遺産分割審判については、経営の安定を図るためには株式の分散を避けることが望ましいとして、次期後継者と目されていた相続人の1人に相続財産中の株式を単独取得させ、他の相続人に対して代償金を支払わせるといった分割方法を決定した審判があります(東京高決平成26年3月20日)。会社の次期後継者という立場にある相続人としては、このような判断構造にしたがい、会社経営に対する自身の介入度・寄与度、株式分散が経営の不安定に繋がりうること等の事情を資料に基づいて明らかにすることで、自己が株式を単独取得することができるように主張していくことになるでしょう。ただしこの場合、代償金(自己の法定相続分を超えて相続財産を取得する場合における当該自己の法定相続分を超える部分の対価)を他の相続人に対して支払わなければならないことになる可能性があるので、注意が必要です。

  株式が相続財産中に含まれる場合、相続の問題だけでなく、会社経営の問題にも発展することがあります。過去には、相続人間の準共有状態にある株式について基本的に個々の相続人が法定相続分に応じた持分を有するとされていることを利用し、一部の相続人同士が結託して後継者と目されていた相続人から経営権を奪取しようとしたような事例も存在します(大阪高判平成20年11月28日)。次期後継者の立場にある相続人としては、このような会社経営の危機を防止して一刻も早く経営状態を安定させるべく、速やかに遺産分割手続を進めていく必要があります。

  当事務所では株式の相続を含めた様々な相続案件を扱っておりますので、株式を承継するための遺産分割方法が分からないといった場合は、是非当事務所にご相談ください。

この記事を担当した弁護士
弁護士法人かばしま法律事務所 弁護士 塩村 貴秀
保有資格弁護士
専門分野相続
経歴熊本県宇城市出身
熊本県立熊本高等学校卒業
九州大学法学部卒業
九州大学法科大学院卒業
司法試験合格
弁護士登録(福岡県弁護士会筑後部会)
専門家紹介はこちら
PAGETOP PAGETOP