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境界と相続

2022.10.05

 母が亡くなり、遺産分割手続を進めたいと思っています。相続人は、私を含む兄弟3人のみで、相続財産は、母が住んでいた自宅を解体した後に残った更地の土地が1筆と、預金です。このうち相続財産の1つである土地と隣接地とは境界の位置が不明となっており、遺産分割を行う前に隣接地との境界を確定させようと思い、隣接地の所有者と話し合いを行ってきたのですが、境界の位置について隣接地の所有者と意見が対立してしまいました。

  隣接地の所有者との間だけでなく、相続人間でも土地の分け方や土地の境界の位置について話合いがまとまっておらず、遺産分割調停を申し立てるつもりなのですが、このような境界の位置についても調停の中で取り決めることができるのでしょうか。

 基本的に遺産分割調停は、範囲が確定した遺産の分配方法を決めるための手続ですので、相続財産である土地の境界の位置についてまで調停の中で決めることはできません。したがって、相続財産の土地の境界については、遺産分割調停とは別個の手続によって確定させる必要があります。

  隣接地との間の境界を明らかにする手続としては、主に①筆界特定手続、②筆界確定訴訟が考えられます。

  ①筆界特定手続は、法務局に申立てを行い、登記官によって隣接地との間の境界の位置が判断されます。登記官は、係争土地の境界に関する全ての資料を収集するとともに、専門的知見を有する筆界調査委員による測量や実地調査等の必要な調査を経て、迅速かつ的確に境界の位置について判断を行います。同手続により特定された境界の位置について不服のある当事者は、同手続に対する不服申立てを行うことはできませんが、後述する筆界確定訴訟を提起することができます。

  ②筆界確定訴訟は、裁判所に訴訟提起を行い、裁判官によって隣接地との間の境界の位置が判断されます。訴訟を提起する側、される側は、いずれも境界の位置についての自己の主張を行うことができますが、裁判官はこれらの主張にとらわれることなく全ての証拠に基づいて境界の位置に関する判断を行うことができます。

  遺産土地と隣接地との境界の位置が定まっていない場合、以上の①、②の手続のいずれかによって、遺産分割調停とは別個に境界の位置を明らかにしていく場合が多いです。

  他方、境界の位置に関する手続がなかなか進まないために、遺産分割手続がいつまでも終了しないというデメリットも存在します。このような場合には、預金については分け方について相続人間で合意が取れているにもかかわらず、土地の境界がなかなか確定しないために、預金についても分割が滞ってしまうという状況が生じかねません。このような場合には、遺産の一部(預金)についてのみ先に遺産分割調停を成立させる(一部分割)、土地について境界が未定であることを前提とした評価額に基づいて遺産分割調停を成立させる、といった方法により、境界確定手続の帰趨に左右されないような遺産分割の方法を選択していくことになります。

  境界紛争が絡む遺産分割は、様々な進め方が考えられ、判断も難しいと思われます。境界紛争が絡む遺産分割にお悩みの場合は、是非当事務所にご相談ください。

この記事を担当した弁護士
弁護士法人かばしま法律事務所 弁護士 塩村 貴秀
保有資格弁護士
専門分野相続
経歴熊本県宇城市出身
熊本県立熊本高等学校卒業
九州大学法学部卒業
九州大学法科大学院卒業
司法試験合格
弁護士登録(福岡県弁護士会筑後部会)
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