祭祀承継者について
- 2022.06.06
Q
父親が亡くなり、母親、長男である兄、次男である私が相続人となりました。先祖代々の墓や仏壇等は実家である福岡県にあり、母親が住んでいるので、墓の管理等については、しばらくは心配ないのですが、兄は北海道、私は東京都に住んでおり、もし母親が亡くなった場合にどちらが管理するのことになるのか心配です。
A
民法897条は、一般の相続財産の分割とは別に祭祀承継者を定めることを規定しています。祭祀承継とは、「系譜、祭具及び墳墓」のような先祖の祭祀の用具である祭祀財産の所有権の承継です。遺産分割と祭祀承継における祭祀財産とはそれぞれ別に判断されることとなります。
祭祀承継者の決め方ですが、まず、被相続人の指定によるものがあります。遺産分割に関する遺言書は要式行為といって、有効な遺言書と認められるための要件が法律に定められていますが、祭祀承継者の指定には要件は定められていません。そのため、書面でも口頭でも指定することができます。被相続人の指定がなければ、慣習がないかを確認します。
それでも、祭祀承継者が誰となるか決定できなければ、家庭裁判所に祭祀承継者を決定してもらうよう申立を行うことになります。もちろん、相続人や関係者の話し合いで決めることも可能です。
専門家である弁護士に一度相談されてはいかがでしょうか。
この記事を担当した弁護士
弁護士法人かばしま法律事務所
弁護士
松本 圭史
保有資格弁護士
専門分野相続
経歴熊本県熊本市出身
福岡県立明善高等学校卒業
福岡大学工学部建築学科卒業
福岡大学法科大学院修了
司法試験合格
弁護士登録(福岡県弁護士会)