預貯金の払い戻しについて
- 2021.09.21
Q
こちらのケースですが、夫に預貯金があっても長期間払い戻しを受けることができないということでしょうか。
A
被相続人の預貯金を払い戻すことが困難になった場合に対応するため、法は2つの手段を用意しております。
一つは、遺産分割協議が成立する前に金融機関に対して一部の払戻しを請求する方法です。
この場合は一つの金融機関ごとに限度が150万円となっています。詳細は、〈遺産分割前の預貯金債権行使〉をご覧ください。
もう一つは、遺産分割の審判、調停の申立てがあった場合に、家庭裁判所に預貯金の仮分割を求めることができます。以前は、関係者の窮迫の危険の防止の必要があることが条件でした。最近の法改正で条件が緩和され、相続財産に属する債務の弁済(支払)、相続人の生活費のためや、その他の事情により預貯金を払い戻す必要があると認められた場合、家庭裁判所は仮分割の仮処分という処分を行い、預貯金を払い戻すことができるようになりました。
仮分割の仮処分は、家庭裁判所に遺産分割調停、審判の申立てがされていることが前提となるなど、手続きが複雑になっていますが、その反面払い戻しを受ける金額は家庭裁判所が判断した金額で一律の制限はありません。手続きを速やかに行うためには、弁護士に依頼することをお勧めします。当事務所では、相続の相談は初回無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。