遺言執行者がある場合に、相続人が、遺言執行者の行為を妨害した場合にはどうなりますか?
- 2021.09.21
A
相続人がした行為は無効となります。
ただし、善意(知らない)の第三者には無効を主張することができません。
(解説)
改正前の規定では、民法第1013条に「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない」と定められているのみでしたが、改正により同条2項に「前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対向することができない」との法的効果を明確に定める規定が設けられました
改正前においても、相続人が遺言執行者の執行行為を妨げる行為をした場合には、相続人の行為は無効とするという判例がありました(最判昭和62年4月23日)が、問題とされたのは相続人以外の第三者との関係です。
遺言執行者がある場合、相続財産の処分その他遺贈の執行を妨げる相続人の行為は無効であることを原則としつつ、遺言の内容を知り得ない第三者の取引の安全を図る観点から、善意(相続人が遺言執行者の執行行為を妨害した行為であると知らなかった)の第三者には無効を主張できないという例外を設けた規定とされました。
(執筆者・松本)
この記事を担当した弁護士
弁護士法人かばしま法律事務所
弁護士
松本 圭史
保有資格弁護士
専門分野相続
経歴熊本県熊本市出身
福岡県立明善高等学校卒業
福岡大学工学部建築学科卒業
福岡大学法科大学院修了
司法試験合格
弁護士登録(福岡県弁護士会)