身寄りのない方が亡くなった場合について
- 2021.09.21
両親が既に他界し、配偶者、子ども、兄弟もいないという方が亡くなった場合に、その方の葬儀や相続財産はどうなるのでしょうか。
〈葬儀〉
墓地、埋葬等に関する法律9条では、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」と規定されている。そのため、身寄りのない方が亡くなった場合には、死亡地の市町村長が埋葬又は火葬を行うことになります。
〈相続財産〉
相続人のいることが明らかでない場合には、利害関係人(亡くなった方の債権者等)又は検察官の請求によって、家庭裁判所が相続財産管理人を選任することになります(民法952条1項)。あくまで申立てがあってはじめて相続財産管理人が選任されるので、相続財産がほとんどない場合など、相続財産管理人がいなくても問題が発生しないような場合には、選任されないこともあります(現実には選ばれないことがほとんどだと思います)。相続財産管理人には弁護士等の専門職が選ばれることが多いです。
相続財産管理人が選任されたあとは以下のように手続きが進んでいきます。
①家庭裁判所が、相続財産管理人が選任されたことの公告をする(民法952条2項)。
②①の公告をしてから2ヶ月が経過したときに、相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨の公告をする(民法957条1項)。
③②の公告をしてから2ヶ月が経過したときに、家庭裁判所が、財産管理人の申立てで、6ヶ月以上先に満了期間を定めた相続人を捜すための公告をする(民法958条)。期間満了前に相続人が現れなければ相続人がいないことが確定する。
上記手続きの後、家庭裁判所が相当と認めるときは、亡くなった方の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます(民法958条の3第1項)。
これらの手続きを全て経てなお処分されなかった相続財産があった場合には、国庫に帰属することになります(民法959条)。
このように、身寄りのない方が亡くなった場合には、最終的にはその方の財産は国のものとなります。もし、お世話になった方や特定の団体などに遺産を譲りたいと思った場合には、その旨の遺言を残しておく必要があります。
遺言書の残し方がわからないという方は、是非一度弁護士にご相談下さい。