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籍は入れていないけど夫婦同然に過ごしていた男性の財産は、どんな場合でも相続できないのですか?

2021.09.21

Q

籍は入れていないが夫婦同然に生活していた男性の財産は、一切相続できないのですか?

その男性に相続人がいないことが確定した場合、特別縁故者として、家庭裁判所に対し相続財産処分の申し立てを行い、家庭裁判所が相当と認めれば、その男性の財産を受け取ることができます。

解説

相続人が存在しない場合、その相続財産は原則として国庫に帰属します(民法第959条)。
しかし、被相続人の内縁の配偶者などがいた場合、被相続人の合理的意思を解釈すると、財産を国庫に帰属するのではなくそのような者に渡したいであろう場合が多く、そのような場合は上記原則は不合理です。
そこで、相続人と特別の縁故があった者(内縁の配偶者だけでなく、被相続人の療養看護に特に力を尽くした隣人、知人等もこれに含まれます)に、相続人の不存在が確定し、家庭裁判所が相当と認めるときは、それらの者の申し立てにより、相続財産の全部または一部を与えることが認められています。
繰り返しになりますが、特別縁故者に相続財産の財産の分与が認められるのは、法律上の相続人がいないまま被相続人が死亡した場合に限られます。特別縁故者であれば被相続人の子供等の法定相続人と、相続財産の取り分について争うことができる、というわけではないので注意が必要です。

具体的な流れは、以下の通りです。

①被相続人が死亡したものの、相続人の存在が不明の場合、相続財産を管理するため、利害関係人または検察官は、家庭裁判所に「相続財産管理人の選任の申し立て」をし、家庭裁判所はその旨の公告をします。

(なお、戸籍上相続人がいることは明らかだが、どこにいるのか行方がわからない、という場合は、失踪宣告または不在者の管理人の規定で処理されますので相続財産管理人の選任を申し立てることにはなりません)

②相続財産管理人選任の公告後、2ヶ月間、相続財産管理人は相続財産の保存・管理行為を行います。

③その後、2ヶ月が経過しても相続人が現れなければ、相続財産管理人は相続債権者・受遺者に対して2ヶ月以上の期間を定めて債権の申し出を行うように公告を行います。

④この期間満了をもってしても、相続人のあることが明らかでない場合、清算の手続と並行して、家庭裁判所は、相続財産管理人または検察官の請求によって、6ヶ月以上の期間を定めて、相続人があるならば一定の期間中にその権利を主張するように公告をします。

⑤この公告期間を経過しても相続人が現れない場合、相続人の不存在が確定します。

⑥同公告期間満了後、財産の取得を希望する特別縁故者は、3ヶ月以内に、家庭裁判所に、特別縁故者として相続財産の処分の申し立てを行います。なお、その際、自身が特別縁故者であることを説明するため、特別縁故関係となる事情を具体的に記載した申立書や証明資料などを合わせて提出することが必要です。

⑦家庭裁判所は、特別の縁故の内容を調査し、相続財産管理人の意見を聴き、申立人(特別縁故者であると主張する者)と被相続人との具体的関係、その期間、具体的状況等を加味して、分与をするか否か、また、分与をするとしてその範囲や額についてを、判断します。

⑧分与相当との判断を家庭裁判所が行った場合に、ようやくはじめて、特別縁故者は被相続人の財産の分与を受けることができます。

このように、特別縁故者の制度があくまでも「相続人の範囲に関する制度の例外」として位置づけられるため、その判断には慎重を要し、特別縁故者として認められて被相続人の財産を取得するためには長時間がかかるものとされています。

以上

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