父が亡くなり遺産分割協議を行った後に、父の子どもと名乗る人(私の腹違いの弟)が現れた。それから6年後に彼自身の相続分を請求されたが、支払わなければいけないのですか?
- 2021.09.21
Q
父が亡くなりました。私と母とで遺産分割協議を行い、母が父の相続財産のすべてを相続することにしました。しかしその後、私の腹違いの弟、すなわち父の子であることを称する方が現れました。父の子であることを認知する旨の判決も出ました。その判決から6年が経過した後に、その方から自身の法定相続分について、価格の支払い請求をする、という内容の手紙が届きました。支払に応じないといけないのでしょうか。
A
相続回復請求権の消滅時効は、自己の相続権を侵害された相続人が、侵害された事実を知った時から5年と定められています。ですので、本件の場合、あなたは消滅時効を援用して、支払に応じない、という回答をすることが出来ます。
【解説】
相続回復請求権の行使は、一度遺産分割協議が成立した後に、それによって相続権を侵害された相続人が遺産分割の内容に異論を唱える、というものですので、取引の安全の保護と相続関係の早期確定の要請が働き、一定の制限が設けられています。
その制限の一つが、時間的制限、すなわち消滅時効の設定です。
前述の通り、相続回復請求権の消滅時効は、自己の相続権を侵害された相続人が、侵害された事実を知った時から5年と定められています。自己の相続権を侵害されたことを知ってから5年間もその事態を放置していた相続人よりも、既に築かれている新たな法律関係の保護を重視したものです。
以上の通りですので、認知をされてから6年間も事態を放置していた相手方よりも、相談者様を保護すべき要請が働いておりますし、消滅時効が完成しているため、支払には応じないという回答をしていただいて結構です。