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相続人の一部が実家や親の所有していた家に住み続けて出て行ってくれないですが、どうしたらよいですか。

2021.09.21

Q 

相続人の一部が実家や親の所有していた家(マンション)に住み続けて出て行ってくれません。どうしたらいいでしょうか?

A

相続人の1人が被相続人の配偶者(夫、妻)の場合

被相続人と配偶者が被相続人の単独名義の遺産である、実家やマンションに居住している場合は、その配偶者には「配偶者短期居住権」が発生します。

「配偶者短期居住権」がある場合には、遺産分割協議成立までと相続発生(被相続人が亡くなった日)から6か月間の長い期間は、配偶者は無償で実家やマンションに居住することができます。すなわち、配偶者は最低6か月の間無償で実家やマンションに居住することができ、立ち退きを強制することはできないことになります。

また、遺言により、「配偶者長期居住権」が設定されていた場合は、配偶者は生涯(又は遺言で定めた一定の期間)無償で実家やマンションに居住することが可能となり、立ち退きを強制することはできなくなります。

相続人の1人が被相続人の配偶者でない場合

居住していない相続人としては、居住している相続人が居住していない相続人にお金(代償金)を支払うことで、居住している相続人が実家やマンションの所有権全部を所有するように求めることになります。これを「代償分割」と言います。

しかし、居住している相続人が代償金を支払うだけのお金を持っていない場合は、実家やマンションを売却して、代金を分配する方法を取ることになります。これを「換価分割」と言います。

遺産分割の合意ができない場合

上記の「代償分割」「換価分割」のいずれの方法をとるにしても、遺産分割協議は相続人全員の合意がないと成立しません。つまり、居住している相続人も合意しないと「代償分割」「換価分割」を取ることはできないことになってしまいます。

このように、遺産分割の合意が成立しない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停、審判を申し立てて、先ずは裁判所での話し合い(調停)を行い代償分割又は換価分割での合意を目指すことになります。

調停は話し合いなので、相続人全員の合意ができなければ、成立しません。そこで、家庭裁判所に遺産分割の方法を決める審判をしてもらうことになります。居住していない相続人としては、換価分割を命じる審判を出してもらうことになります。

換価分割を命じる審判がされたにもかかわらず、換価(売却)に応じない相続人がいる場合は、競売を申し立てることによって、強制的に換価することができます。

競売によって、買受人が現れて代金が納付されると、買受人が引渡命令の申立てをすると、居住している相続人は強制的に立ち退きがされることになります。

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