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死亡した父親の預貯金について、子供の相続人が父親の生前に出金をして不正に使用していたことを認定し、他の相続人からの損害賠償請求を一部認容した事例

2021.08.17

事案の概要

脳の病気のために、意識のない状態にあった父親の預貯金通帳を管理していた長男が、父親の預貯金から出金を重ねて、自身の生活費や趣味に使用していた事案(担当弁護士:竹田)

 

結果

他の相続人からの依頼のもと、父親の預貯金を出金できたのは、通帳を保有していた長男しか考えられないことを主張するとともに、出金した金額が高額であって父親の生活費をはるかに超えるものであることを主張することにより、長男の出金した金額のうち相当額は、正当な理由なく長男自身のための支出に使用したものとして、不当利得返還請求を一部認容した。

 

解決のポイント・解決までの流れ

まずは、誰が出金をしたのか特定するために、預貯金を出金できるのが通帳保管者である長男以外にありえないことを説明した。

そして、医療機関から取り寄せた入院費と照らし合わせて、父親にかかる費用をはるかにこえる金額の支出がなされていることを示して、正当化できない支出が相当額含まれていることを示した。

上記の主張立証活動の結果、不当利得返還義務が肯定された。

 

解決までの期間

2年半

 

当事者の感想・様子

正当な理由のない出金があることを前提にした判決であったので、おおむね満足していただいた。

 

担当弁護士からのメッセージ

死亡した方の預貯金が、その方の生前に多数回にわたって出金されているケースは数多くあります。

もっとも、このようなケースで他の相続人が返還を求めようとしても、①そもそも誰が出金したといえるのか、②出金した者が特定されたとして、それが正当な理由のない出金といえるのか、という①②の点が問題になります。

よく見られる類型の事件ではありますが、実は複雑で立証活動も容易ではない事件ですので、他の相続人が不正に出金をしたのではないかと疑念を持っている方は、経験豊富な弁護士に相談をし、返還請求の可否について意見を聞くことをお勧めします。

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