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多数の相続人がいる遺産分割において、代償金の支払を1年後に設定した形での代償分割が認められた事例

2021.08.18

事案の概要

遺産は不動産だけであり、相続人の一人(依頼者)が、その全ての不動産を取得して、他の相続人には代償金を支払いたいと考えていたが、不動産が高額であるために代償金をすぐに用意できない状況にあった。
その中で、遺産分割調停が申し立てられた。
(担当弁護士:竹田)

 

結果

遺産分割調停においては、即座に金員を用意できないのであれば支払がなされるか不安があるという他の相続人の懸念が表明された。

依頼者は、即座に代償金を支払えるだけの現金や貯金はなかったが、遺産となる不動産に担保を設定することで資金を用意できるめどがあることを、他の相続人に丁寧に説明をし、納得をしてもらった。

その結果、余裕をもって大証金の支払期限を1年と設定した形での代償分割による遺産分割調停が成立した。

 

解決のポイント・解決までの流れ

審判により代償分割をする場合には、代償金を支払う相続人に資力があることが必要であり、本件ではそれが証明しづらい事案であった。

そのため、依頼者に、現時点では財力はないものの、不動産を担保として資金提供される可能性が高いことを、融資担当の銀行名や銀行担当者とのやりとりを細かく説明したことで、調停成立(合意)により代償分割を行うことができた。

 

解決までの期間

3年半。

 

当事者の感想・様子

かなり時間を要したが、審判では認められない可能性のあった代償分割を選択できたので、おおむね満足していただいた。

 

担当弁護士からのメッセージ

遺産分割において、特定の相続人が遺産を取得し、他の相続人には代償金を支払うという形をとることは多いです。

しかしながら、裁判所における審判でそれが認められるためには、その相続人に資力があることが必要であり、その証明のために預貯金通帳の写しや、不動産の買付証明書等の提出を求められますので、本当に代償分割ができるかどうかは、弁護士に事前に相談した方が良いです。

また、これらの資料がそろわない場合でも、合意によって代償分割できる可能性があります。資料がなくても代償分割を希望するという方も、ぜひそのための方策について弁護士にご相談ください。

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