使い込みがあると主張されて対立していた相続人間で遺産分割調停がまとまった事例
- 2021.08.27
事案の概要
前妻の子(依頼者)と後妻との関係が悪化している中で、父が死亡した。
遺産は預貯金と不動産であったが、生前に遺産の使い込みがあったので、その分を差し引くべきである等と後妻側が主張をしたため、任意交渉では遺産分割がまとまらなかった。
もはや任意交渉では解決することが困難であるとして、弁護士に委任をして、家庭裁判所における遺産分割調停を申し立て、その中で解決を図ることとなった。
結果
相手方(後妻側)が使い込んだ旨主張していた部分については、遺産分割の対象外であるので、別の手続で解決するべき問題であると説得した。
使い込みと主張している部分を除いたことで、預貯金と不動産のみを対象とした話し合いをすることができた。
なお、使い込んだと主張された部分は、別の裁判(不当利得返還請求訴訟)が提起され、その訴訟で使途を説明することで、解決できた。
解決のポイント・解決までの流れ
遺産分割の対象となるものとそうでないものを分けて交通整理をしたことで解決が早まった。
具体的には、遺産分割では双方が取得希望のものを取得して差額は預貯金で調整し、使い込みと主張されている部分については本当に出金がなされたのか、なされたとして何に使われたのかを整理した。
そのことにより、争点が整理され、かつ感情的な対立を極力排除した話し合いを進める事ができたのが解決を早めたきっかけとなった。
解決までの期間
受任から解決まで約2年
当事者の感想・様子
合意をまとめることができたので、満足いただいた。
担当弁護士からのメッセージ
使い込んだお金の返還を求める権利が基本的には遺産分割の対象とならないことを知らない方は多いです。 |
そのため、使い込んだと主張するお金を含めた遺産分割をしようとし、紛糾することがあります。使い込みを主張された場合の対応の仕方はある程度定型化されているので、経験のある弁護士に相談して解決するのがよいと思います。