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遺留分を請求できる人は誰か(胎児・代襲相続・欠格、廃除、相続放棄)

遺留分侵害額請求をすることができる相続人と、そうでない相続人がいます。個々の身分関係ごとに解説します。

胎児

民法3条1項は、「私権の享有は、出生に始まる」と定めており、民法上、出生が権利

能力の始期(あらゆる請求権の主体となることができる始期)とされています。そうすると、相続開始時点の胎児については、相続時点で出生しておりませんので、遺留分侵害額請求の請求主体となることはできないこととなりそうです。

しかし、そうではありません。民法886条1項は、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と、民法3条1項の例外を定めています。この規定により、相続開始時点で胎児だった相続人も、遺留分侵害額請求をすることができます。出生が少し早いか遅いかという単なる偶然で結論が大きく変わることの不公平を是正するために、民法886条1項は胎児の権利能力に関する例外を規定しています。

代襲相続人

代襲相続とは、例えば被相続人の死亡時点で既に被相続人の子が死亡していた場合に死亡していた子の子(被相続人の孫)が相続人となるような場合をいいます(民法887条2項)。他にも、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるとき、既に兄弟姉妹のうち誰かが亡くなっている場合のその亡くなっている兄弟姉妹の子も代襲相続人となります(民法889条2項)。

代襲相続のうち、代襲相続人による遺留分侵害額請求が認められるのは、被相続人の子の子(被相続人の孫)や被相続人の孫の子(被相続人のひ孫)が代襲相続人となる場合に限られます。被相続人の兄弟姉妹には遺留分がそもそも認められていません(民法1042条1項。その帰結として被相続人の兄弟姉妹の代襲相続人も遺留分が認められないということになります。)。

欠格事由のある人

民法891条は、5つの欠格事由を定めており、これらの事由に該当する者は相続人となることができません。

遺留分は、相続人以外には認められませんから、欠格事由のある者は遺留分侵害額請求をすることはできません。ただし、欠格も死亡と同じく代襲相続が認められます(民法887条2項)ので、欠格事由のある者の代襲相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。

廃除された人

本来であれば相続人に当たるはずの人(推定相続人といったりします)が、被相続人に虐待や重大な侮辱を加えたり、または著しい非行を行っていたりする場合、被相続人の遺言や家庭裁判所への請求によってその推定相続人から相続権を剥奪することができます。これを廃除といいます(民法892条)。廃除された者に遺留分を認めると、その者に財産を承継させないという被相続人の意思が貫徹できません。したがって、廃除された者も遺留分侵害額請求をすることはできません。

ただし、廃除にも欠格や死亡と同様に代襲相続が認められます(民法887条2項)ので、廃除された者の代襲相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続放棄を行った人

相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。遺留分は、相続人にのみ認められますので、相続放棄をした人は遺留分侵害額請求をすることができません。

また、相続放棄は欠格や廃除、死亡と異なり、代襲相続が認められませんので、相続放棄をした人の子もまた遺留分侵害額請求をすることができません。

自分が遺留分侵害額請求をすることができるかどうか分からないという場合、ぜひ当事務所までご相談下さい。

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